top of page
検索

スープは彼女。

執筆者の写真: -はるか- 札幌ラーメン悠
-はるか- 札幌ラーメン悠
9月23日
読了時間: 6分
ラーメンスープ
げんこつのスープ

今回はラーメン屋らしく、スープの話を。

うちのスープは、国産の豚ゲンコツにこだわって作っています。

ゲンコツというのは豚の大腿骨。

よく骨のイラストで見る、

🦴←こんなやつです(笑)

豚骨といっても、背骨や肋骨などいろいろな骨があります。

その中で、なぜゲンコツなのか。

単純ですが、

ゲンコツにしか出せない味があるからです。

ゲンコツの味は、ゲンコツからしか出ません。

お湯で長い時間をかけて炊くことで出てくる味なので、何かを入れて簡単に似せられるものでもない。

そしてラーメンに仕上げても、その味がちゃんと残ってくれる。

だから、うちのスープはゲンコツを軸にしています。

国産のゲンコツを使う理由

ゲンコツにも国産と外国産があります。

自分は実際に両方を使って、炊いて、食べ比べました。

外国産のゲンコツは、グッとくる旨味が強い。

これは抜群です。

ただ、自分には少し味が粗々しく感じました。

そして香りがあまり好みではなく、甘みも少ない。

一方、国産のゲンコツは外国産ほどグッとくる強い旨味はありません。

でも、香りが豊かで、甘みが奥深い。

自分が頭の中でイメージしていたスープには、こっちの方が近かった。

足りない旨味なら、ほかの食材で補強することができます。

さらに一杯のラーメンに仕上げる時にも、旨味やコクはいろいろプラスしていける。

でも、ゲンコツそのものの香りや自然な甘みは、後から簡単に作れるものではない。

だったらスープの土台には国産ゲンコツを使おう。

そう決めました。

スープには余計なものを入れない

豚骨スープというと、

ネギ、生姜、ニンニク。

そういうものも一緒に鍋へ入れて炊くイメージがあるかもしれません。

でも、うちではそういった香味野菜は入れません。

理由は、

ゲンコツそのものの出汁を取りたいから。

生姜やニンニクなどの香りが欲しければ、一杯のラーメンを作る時に足せばいい。

スープを炊く段階では、余計な味や香りをつけたくありません。

まずはゲンコツから出る香り、甘み、旨味を取る。

本当に「ゲンコツの出汁」という感じです。

もちろん、それだけでは足りない部分もあるので、ほかの素材で旨味やコクの補強はしています。

でも、スープの中心にあるのはあくまでゲンコツです。

頭の中にあったスープを作る

このスープが最初から簡単にできたわけではありません。

自分の頭の中には、

「こんなスープにしたい」

というイメージはありました。

でも、頭の中で想像する味と、実際に鍋で出来上がる味は別物です。

なので、考えられることはいろいろ試しました。

火加減を変えてみる。

炊き方を変えてみる。

時間を変えてみる。

そして、その都度食べてみる。

結局、それの繰り返しです。

国産と外国産のゲンコツを比較したのも、その中の一つでした。

いろいろ試して、食べて、また変えて。

そうやって、頭の中にあったスープに少しずつ近づけていきました。

スープは長く炊けば炊くほど旨くなる?

たぶん、

「スープは長く炊けば炊くほど、骨から味が出て美味しくなる」

そんなイメージを持っている人も多いと思います。

でも、実際にやってみるとそうでもありません。

自分も研究していく中で、

「じゃあ、どこまで炊くのが一番美味しいんだ?」

と思いました。

そこで、炊いている時間ごとにスープを取って、一杯ずつ食べ比べました。

すると、ちゃんと違うんです。

まだ若いところ。

香りと旨味のバランスが良いところ。

そして、そこを超えていくと香りが抜けて、少しずつエグ味や雑味が出てくる。

実際に食べ比べながら、

「このくらいが一番いいな」

というところを探しました。

だから、うちのスープも長時間炊きますが、

長ければ長いほど良いとは考えていません。

一番いいところまで来たら、そこでやめます。

煮物とスープは似ている

これは昔、日本料理を作っていた時にも感じたことがあります。

自分は煮物が一番難しかった。

煮物も、ただ長く煮れば美味しくなるわけではありません。

いいタイミングで火を止める。

休ませる。

また手を入れる。

その「頃合い」を見つけるのが難しい。

スープを研究していて、

結局これも同じなんだなと思いました。

スープにも一番いいところ、頂点がある。

そこを見つけて止める。

料理って、長くやればいいわけじゃないんですよね。

うちは清湯スープです

豚骨スープと聞くと、白く濁った濃厚なスープを想像する人も多いと思います。

あれは「白湯(パイタン)」と呼ばれるスープ。

うちが作っているのは、それとは違う「清湯(チンタン)」です。

澄んだ豚骨スープです。

同じ豚骨でも、炊き方がかなり違います。

白湯は強い火でガーッと炊く。

鍋の中を動かし、水も足しながら炊いて乳化させていく。

すると白く濁って、とろっとした、マイルドでクリーミーなスープになります。

こってりしていて、独特の豚骨の香りやクセもある。

あれはあれで、癖になる美味しさがあります。

でも、自分が作りたかったのはそっちではありませんでした。

自分が特に大事にしたかったのは、

香りです。

火を強くすると、乳化して旨味をギュッと絞ったような濃厚なスープになっていく。

でも、その一方で自分が欲しい香りは飛んでいく。

そこは譲れませんでした。

だから、はるかのスープは火を最弱にします。

鍋の表面が、

プクッ……

プクプクッ……

となるくらい。

そのくらいの弱い火で、じっくり長時間炊いていきます。

水分は少し蒸発しますが、途中で水も足しません。

そうやって炊くことで、

香りが良く、

あっさりしていて、

ゲンコツの自然な甘みがある。

そんなスープになります。

もちろん清湯だって、炊き続ければいいわけではありません。

炊きすぎれば香りは抜けていくし、せっかくの旨味にもエグ味や雑味が加わっていきます。

だから大事なのは、

何時間炊いたかではなく、

一番いいところで止められるか。

自分はいろいろな炊き方を試して、時間ごとに実際に食べてみて、今のスープにたどり着きました。

派手な濃厚さはありません。

でも、

あっさりしていて、奥深い。
自然な甘みがあって、香りがいい。

頭の中で想像していたのは、そんなスープでした。

普段は表に出て目立つものではありませんが、

自分にとっては、ラーメンを作る上で一番大事な土台です。

そしてスープって、なんとなく彼女みたいなものかもしれません。

長く一緒にいればいいってもんでもない(笑)

火加減を間違えてもダメ。

放っておいてもダメ。

ちゃんと見ながら、一番いい頃合いを見つけてやらないといけない。

……まあ、モテない男なんで彼女のことはよく分かりませんが(笑)

スープのことなら、少しは分かります。


 
 
 

最新記事

すべて表示
北海道胆振東部地震③ 街に明かりが戻った。

次の日。 昼過ぎに自宅で目が覚めました。 自宅は幸い、断水していなかったので水は使えました。 なんやかんやしていると、 すすきのにいる知人から連絡が来ました。 「電気通ったぞー!」 おお、マジか。 夕方、店へ向かいました。 すすきのへ行ってみると、少しずつ街に電気が戻り始めていました。 ただ、まだ全部が元通りというわけではありません。 明るくなった場所もあれば、まだ暗い場所もある。 とりあえず店に

 
 
 
北海道胆振東部地震② 明かりのない街。

次の日。 起きて、とりあえず家のすぐ近くにあるコンビニへ行ってみました。 何もない。 弁当もない。 飲み物もない。 体を拭くシートみたいな物もない。 多分、酒なんかは真っ先になくなったんじゃないでしょうか(笑) なのに、 カップ麺だけはやたら残ってる。 まあ、お湯沸かせないですからね。 そりゃ残るか。 H川君に連絡して、とりあえず一緒に店へ行くことにしました。 電気はまだ戻っていません。 当然、冷

 
 
 
北海道胆振東部地震① そして、街の明かりが消えた。

2018年9月6日。 当時の店は、今と違って夜中まで営業していました。 その日もいつも通り営業していて、自分の記憶では2時過ぎくらいだったと思います。 一度、かなり強い揺れを感じました。 店にはまだラーメンを食べているお客さんがいて、 「おー、なんだなんだー」 みたいな感じになって、店の中もちょっとざわつきました。 お客さんもすぐにラーメンを食べ終わって帰り、自分も閉店作業に入りました。 そして3

 
 
 

コメント


bottom of page