冷蔵冷凍庫が壊れた。全部パー。

2017年11月に店をオープンして、年が明けた2018年。
初めて迎えた初夏のことでした。
まだオープンして半年ちょっと。
相変わらず店に余裕なんてありません。
売上も安定していたわけではないし、この頃は自宅の家賃も貯金を崩しながら払っていました。
店をオープンしてからは、ろくに休みも取らず、ほとんど毎日店を開けていました。
そんなある朝。
いつものように店に出勤して、冷蔵冷凍庫の温度を確認すると、上段の冷凍庫は普段マイナス18℃くらいになっているはずが、マイナス12℃。
「あれ?おかしいな」
と思って冷凍庫を開けてみると、中のものが少しずつ溶けかかっていました。
嫌な感じがして、下段の冷蔵庫も開けてみると、ムワッと生ぬるい。
この時点で、
「これ、まずいな」
となりました。
確認していくと、どうも冷蔵冷凍庫そのものがダメになっていました。
中には自家製のチャーシュー、味玉、餃子など、営業に使うものが色々入っています。
当然、そのまま使うわけにはいきません。
全部ダメ。
これはかなりきつかったです。
しかも、うちは毎日豚骨スープを炊いていました。
せっかく時間をかけて炊いたスープも、営業できないなら使えません。
チャーシュー。
味玉。
餃子。
豚骨スープ。
仕込んだものが全部パーです。
もう本当に、
「お手上げです」
という感じでした(笑)
急いで業者さんを呼びましたが、業務用の冷蔵冷凍庫なんて、その日に買ってすぐ持ってきてもらえるようなものではありません。
最初に言われたのは、
「納品まで一週間くらいかかります」
という話でした。
一週間。
その間ずっと営業できないとなると、かなり厳しい。
こちらもかなり困っていたので、その状況を見かねた業者さんが、あらゆるところに在庫を確認してくれました。
本来ならすぐに用意できるものではなかったんですが、なんとか4日くらいで納品してもらうことができました。
詳しいことは言えませんが、かなり無理をして冷蔵冷凍庫を引っ張ってきてくれたみたいです(笑)
あの時は本当に助かりました。
自分ではどうにもできない状況だったので、こういう時に動いてくれる人がいるありがたさは今でも覚えています。
そして冷蔵冷凍庫は買い替え。
金額は約100万円。
ただでさえ店が安定していない時期。
自宅の家賃まで貯金を崩して払っているところに、いきなり100万円です。
これはさすがに引きましたね(笑)
正直、100万円なんて出したくありません。
でも、冷蔵冷凍庫がなければ営業できない。
「買うかどうか悩む」というより、買うしかない。
ほとんど選択肢はありませんでした。
もちろん、100万円だけで終わる話でもありません。
ダメになった食材。
仕込みに使った時間。
営業できなかった日の売上。

それまで作っていたものも、また一から仕込み直し。
冷蔵冷凍庫ひとつ壊れただけで、色々なものが一気に止まりました。
飲食店をやる前なら、
「冷蔵庫が壊れた」
と聞いても、そこまで大事には感じなかったと思います。
でも実際に店をやってみると、冷蔵冷凍庫ってほぼ店の生命線みたいなものなんですよね。
そしてこの時、皮肉にも久しぶりに店を休むことになりました。
オープンしてから、ろくに休まず営業していたので、まともに休んだのはかなり久しぶり。
ただし、
「よし、今日は休もう」
ではなく、
「営業できないから休むしかない」
という休みです(笑)
もちろん全然うれしくありません。
頭の中は、
「いつ営業再開できる?」
「仕込み全部やり直しか」
「100万円か……」
そんなことばかり。
今思えば、この時すでにちょっと嫌な予感はしていました。
店を始めてまだ半年ちょっとなのに、
「これから先、大丈夫か?」
と。
でも、この時はまだ知りません。
この先、店を続けていく中で、もっと大きな出来事がいくつも待っていることを。
とりあえず新しい冷蔵冷凍庫を入れて、食材を仕込み直して、また店を開ける。
その時は、それしかありませんでした。
ラーメン屋を始める前は、ラーメンの味をどうするかばかり考えていました。
でも実際に店をやると、味以外のことで店が止まることもある。
開業して最初の一年で、
「店を続けるって、こういうことも全部込みなんだな」
と少しずつ思い知らされていきました。
それ以来、朝店に出勤したら、まず冷蔵冷凍庫の温度を確認する癖がつきました。
上段の冷凍庫はちゃんとマイナス18℃前後になっているか。
下段の冷蔵庫もいつも通り冷えているか。
あの時のことがあるので、今でも無意識に見ています。
たぶん、この癖はもうずっと抜けないと思います(笑)



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